──空から見下ろすこの世界は、全てがひとつなぎ。


 高い高いところから、全身に風を感じて、わたしは飛んでいる。

 歪な円形を描く壁、その中に形成されている都市・エンクラティア。

 そこに居るのは複数の地域に別れ、互いに権力を求め、自分たちが一番だと信じ、争い忌み嫌い合う人間たち。

 ああ、哀れ。狭い視界の中で精一杯に、意味のない権利を奪い合っているなんて。

 空から見下ろせば、世界の区切りなんて見えないわ。

 どんなに人間たちが線引きをしようと、高いこの空から見下ろせば、世界は地続きであることは明白。


 わたしはこの景色が好き。

 そう伝える相手は、いないけれど。